[WikiJA-l] Re: 挨拶とGFDL解釈

Sphl sphl @ pan.tok2.com
2004年 7月 2日 (金) 10:09:38 UTC


sphlです。

At 2004/06/29 22:24:56 modeha @ mail.goo.ne.jp wrote:

> 私からの新たな提案は2つあります、1つ目は、ほとんど誰も使っていない
>「/履歴」による履歴複写は制度から除外すべきではないか、ということです。

>Wikipedia内では、既にある記事の内容を利用する場合、元記事へのリンクを
>貼ればよいことで合意したのだから、外部利用に対してだけ厳格な利用を要求
>するのではなく、これももっと簡便にすべきでは?というのが2つ目の提案です。
まずは、議論提起ありがとうございます。

1.まず、Wikipedia内部における履歴記載の簡略化の件。

1.1 必要とされる根拠について

(1) GFDLの「4. 改変」のB項にオリジナルの著者5名以上の列挙を規定
(2) 同、I項にオリジナルの「履歴」の章を残すよう規定
(3) 同、J項にオリジナルおよび過去版のURLを残すよう規定
(4) B項ではこれらをタイトルページに書けとなっており、
   [[Wikipedia:著作権]]の解釈宣言ではタイトルページを次のように
   解釈しています。
  (4-a) 記事の上下左右のインターフェース部分の記述とそこから
     たどれるリンク、および
  (4-b) 記事冒頭のサブページ(現状は「記事名/履歴」サブページが該当)
     からたどれるリンク

1.2 検討

(1) 解釈宣言に従い、リンクをたどった先に履歴があればよいのであれば、
  別にサブページに履歴を残さなくとも、投稿時の要約欄あるいは記事本文中
  に元記事とその版数を特定できる記述(一般的にはリンク)があれば足りる
  から、サブページへの履歴コピーは不要という主張もできます。

(2) 履歴を残す理由は、元記事が削除された場合のため、とされています。
  (「3.6 ウィキペディアにおける翻訳」)。

・履歴をリンクのみに頼ると、元記事が移動され、その後元記事名の
 リダイレクトが削除された場合も、オリジナルの履歴にたどり着けなく
 なる可能性があります。記事の移動時に、二重リダイレクトを避けるた
 め  元リンクを修正することを推奨しているが、必ず実行される保証は
 ありません。また、これを怠ることでGFDLに反する可能性があることを
 認識している人は殆どいないのではないかと思われます。
・但し、元記事が削除されるときには、そこから派生した記事も削除すべきで、
 削除を想定した履歴保存が果たして必要なのか、との問題提起があります。
 (Suisuiさん@井戸端BBS)。
 特に著作権侵害などの場合削除の可能性は高そうです。

1.3 結論

  私はまだ結論は出せません。リンクのみだとどうしても履歴へのリンク切れの
可能性を捨て切れません。後々のリンク切れは改変版を作成した人の責任では
ないので構わないとするのか、リンク切れ後はGFDLを満たさなくなる可能性が
あるのでそもそもリンクで履歴を示すのはまずいとするのか、判断が分かれると
思います。

また、翻訳の場合これをやっているのはおそらくJAだけでしょうか。そんなに
あちこちの記事を網羅していませんが、自分が関わったもので調べると
[[ヴェルナー・フォン・ブラウン]]は英語版がスペイン語版に翻訳されて
いますし、ドイツ語版でも一部取り込んでいるようですが、履歴のコピー
まではありません。日本語版の初版は私ですが、当時このようなことをやる
べきとは知らなかったので何もありません。

各国間の翻訳でこの方式を殆ど採用していないということであれば、使わない
ことで互いに了解しているものとみなせるということかもしれません。

他の人も含め追加意見に期待します。

2. 次に外部へのライセンス時における履歴保存の簡略化案について

2.1 必要とされる根拠

(1) そのままコピーであればGFDLの「2. 逐語的に忠実な複製」が適用される
   ので、履歴保存は不要です。「3. 大量の複製 」を考慮しても同様。

(2) 内容を変更する場合は「改変」にあたるので4条が適用され、1.で議論
 した履歴保存の義務と同じになります。
  (2-a) GFDLの「4. 改変」のB項にオリジナルの著者5名以上の列挙を規定
  (2-b) 同、I項にオリジナルの「履歴」の章を残すよう規定
  (2-c) 同、J項にオリジナルおよび過去版のURLを残すよう規定

2.2 検討

まず、GFDL上「過去版(Wikipediaのデータベースにおける過去の版)のURLを
すべて残す」ことが要求されているかどうかですが、これは不要と考えます。

Tomosさんは「ネットワークロケーションの保存(4条のj)は、リンクを
義務づけているのではなく、URIのデータをとっておけ、ということ」と
しておられます。ちょっと意図がわかりませんでしたのでGFDLの原文と
合わせてじっくり考えると、次のようなことと思えますが、どうでしょうか。
  (2-a) オリジナルがネット上にある場合、最新版のURLを提供すること
  (2-b) 旧版がネット上の別な場合にあるなら、そのURL(複数あればす
    べて)も提供すること

つまり、オリジナル自身が別な場所にある文書を元にした二次著作物で
あることを想定したものであろうという解釈です。Wikipediaにおいては、
内部の各版に対するURLをすべて提供しろということではなく、偶々その
記事が外部のGFDL(および互換性のある)ソースを使用しており、その
URLが記載されていたらそれも残す(preserve)ことを要求されているの
であろうと。

以上を前提にすれば、外部で利用する際に必要な履歴関係の記述は、
 (1)元記事のURL
 (2)元記事の履歴(著者リストを兼ねる)のコピーおよび
 (3)外部での改訂履歴
ということになります。

さて、Modehaさんはこれも(1)元記事のURLだけで良いことにしようという
提案をされているわけですが、GFDLの条文からはそこまで拡大解釈はでき
ないように思います。明確にやるように書いてあることですから。

Modehaさんのお考えと異なり、法的あるいはライセンス的には「Wikipediaは
百科事典であると同時に『GFDL文書を集めたも』」と考えるしかありません。
#GFDLの有効性について判例がないといった話は一応棚上げにしますが。

これはGFDLが好きとか嫌いとかいう問題ではなく、一度採用したらそれを
取り消せないGFDLを採用した以上どうしようもないことです。

いずれにせよ、Wikpediaからコンテンツを取り出して変更のうえ自分のコン
テンツを作る人はそれ以降もWikipediaの活動とは独立にGFDLに従うことを
要求されます。自分で改訂すればそれを履歴セクションに記録する必要が
あるのですから、Wikipediaから履歴をコピーしていくことを義務付ける
ことはそれほど外部での利用を困難にしているとは感じられません。

また、「Wikipedia内部でGFDLによる履歴の保存が厳格にできない」ことと
外部に対するGFDLライセンスができないということは直結しないのではない
でしょうか。そもそも、履歴が保存されないのは削除などがあった場合で
あり、その場合でも(道連れになった適法な版を復活する際などに)削除前
の履歴を複製してくるという方法はあるわけです。これは今回必ずしも
しなくてもよいことになりましたが、もとの著作者がそうしてほしいという
ことであれば削除実施時にそういう処置をしたほうがよい思います)。

移動で記事名称が変わる点はありますが、著作者の投稿記録は移動先の記事
において保存されていますから、その貢献の大部分はシステム上維持されて
いると考えます。従って、外部に対しGFDLでライセンスすることを言い出す
ことがはばかられるほどのいい加減な仕組みではないと考えますが如何で
しょう。もちろん、仕組みを悪用すれば「履歴のロンダリング」のようなこと
を始めいろいろできてしまいますが、そういうことは著作権侵害などと同じく
参加者の相互監視で防止していくべきものと思います。

2.3 結論

以上、私としてはWikipediaに外部のGFDLの素材を受け入れる場合、および
Wikipediaから外部にコンテンツをライセンスする際にはGFDLの要求事項を
省略しないほうが良いと考えます。

(補足)
但し、現在の[[Wikipedia:著作権]]の記述を見直さなくて良いかどうかは
別問題です。2,2の前半で検討したように書いてあることが今ひとつわかり
にくいので誰でもわかるように改訂する必要性はあると思います。
また、Wikipediaの内容を外部で使う人の立場で書いたHowtoマニュアルを
[[Wikipedia:著作権]]とは別に設けることが良いと思います。
つまりGFDLの解釈宣言(定義)と、Wikipediaの利用者(閲覧/編集別に)
のなすべきことを分離して後者は誰でもわかりやすい表現で書き直すべき
でしょう。

長くなりましたが、6月28日と29日のModehaさんのご提案に対しての
コメントとさせていただきます。よろしくご検討お願いします。
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